カラ売りとは?
カラ売りとは、信用取引の新規売りのこと。「先に売って、後で買う」という取引です。
よく、「ないもの(持っていないもの)をどのようにして売るのか」ということを聞かれました。たしかに、株を持っていないわけですから、売ることができません。
では、株を借りてくれば、どうでしょうか。
たとえば、持っていない任天堂の株をカラ売りする場合、任天堂の株を借りてきて、それを市場で売ります。これなら、持っていない株でも売ることができます。後で任天堂の株を市場で買い、それを返せばいいわけです。
実際には、「信用口座のお金を担保に株を借り、それを(先に)売って、(後から)買い戻す」ということになります。
カラ売りの損益は買いの逆です。買いでは、現物や信用取引に関わらず、値上がりすると利益が出て、値下がりすると損失が出ます。たとえば、500円の株を買った場合、501円以上になれば利益が出て、499円以下になれば損失が出るわけです。
カラ売りでは、値下がりすると利益が出て、値上がりすると損失が出ます。たとえば、500円の株をカラ売りした場合、株価が500円よりも下になれば利益が出て、500円よりも上になれば損失が出るわけです。
カラ売りは、「値下がりすると利益が出て、値上がりすると損失が出る」と覚えておきましょう。
カラ売りのリスク管理
カラ売りは信用取引なので、リスク管理が重要になります。
また、買いとは違ったリスクが発生するので、注意しましょう。
時価総額が低い銘柄はカラ売りをしない
カラ売りを仕掛ける前には、狙った銘柄の時価総額を確認しましょう。
時価総額とは、企業が発行している株式の市場価格を合計したものです。
計算式は「株価×発行済株式数」です。
時価総額が低い銘柄は株価が急騰する可能性があるので、カラ売りをするときは注意が必要です。かなり低い場合はカラ売りをしないほうがいいでしょう。
では、時価総額がどのくらいならカラ売りをしないほうがよいのでしょうか。
この金額は明確な基準がありません。
私の感覚では、時価総額が100億円未満の銘柄はなるべく避けたほうがいいと思います。
時価総額が50億円未満の銘柄なら、カラ売りをしないほうがいいです。
時価総額が50億円未満の銘柄だと、ちょっとした好材料でも株価が跳ね上がってしまうことがあります。
また、Xのフォロワー数が1万くらいのトレーダーが「買い煽り」をしただけで株価が跳ね上がる可能性があります。
私自身、過去に時価総額が低い銘柄にカラ売りを仕掛け、踏み上げられて大きな損失を出したことがありました。このような失敗をしないためにも、カラ売りを仕掛ける前には時価総額を確認しましょう。
板が薄い銘柄はカラ売りをしない
板が薄い銘柄はカラ売りをしないこと。
なぜなら、株価が急騰する可能性があるからです。
板とは、証券取引所に出された売買注文の価格と数量を表すものです。
板が薄いとは、取引所に出ている注文が少ない状態のことです。
注文が少ないと、まとまった注文が出ると、株価が大きく動く可能性があります。
カラ売りのポジションを持った後、まとまった売り注文が出て株価が急落すればいいのですが、まとまった買い注文が出れば株価が急騰して一気に含み損が拡大してしまいます。
また、まとまった買い注文でなくても継続的に買われれば、株価は急騰します。
私がよくやってしまったのは、板が薄くて上昇している銘柄に「そんなに上がらないだろう」とカラ売りを仕掛け、踏みあげられて損をするというパターンです。翌日、ギャップアップし、大きな損失が出たこともありました。
このようなことがないように、板が薄い銘柄はカラ売りをしないようにしましょう。
仕手株はなるべくカラ売りをしない
仕手株はなるべくカラ売りをしないようにしましょう。
仕手株とは、「仕手筋」と呼ばれる特定の個人や集団が意図的に株価を吊り上げる銘柄のことです。
仕手筋の目的は、株価を高値に吊り上げて売り抜けることです。
この吊り上げている状況でカラ売りを仕掛けると、大きく踏みあげられてしまいます。大きな損失が出てしまうわけです。
そのため、仕手株はなるべくカラ売りをしないようにしましょう。
常に、どの銘柄が仕手株なのか、といった情報を入手しておくこと。今の時代はSNSで簡単に仕手株の情報を手に入れることができます。
X(旧ツイッター)で検索して探す。または、仕手株の情報に強いXのアカウントをフォローしておき、情報を得ましょう。
ストップ高近辺ではカラ売りをしない
ストップ高近辺ではカラ売りをしないようにしています。
なぜなら、ストップ高にはり付いてしまったとき、リスクが大きくなるからです。
過去には、ストップ高近辺でカラ売りをして大きな利益を得たこともあります。
しかし、一度、ストップ高にはり付いてしまい、翌日はギャップアップで始まってストップ高で寄り付きました。この寄り付きでロスカット。大きな損失が出ました。
カラ売りを仕掛けたときは「ストップ高になりそうになったら、すぐにロスカットすれば大丈夫」と思っていました。
しかし、実際はストップ高から数円下まで株価が上がってきたとき、急に値動きが速くなって、ロスカットが間に合いませんでした。考えが甘かった。
このようなことがあったので、今はストップ高近辺ではカラ売りをしないようにしています。
ストップ高から剥がれたときもしません。
ただ、ストップ高から剥がれて、節目を下抜けしたような場合は仕掛けることがあります。
ストップ高近辺で買った人のロスカットによる売り注文が出てきやすいからです。
デイトレードでのカラ売り
ここからは、デイトレードでのカラ売りについて解説していきます。
一般信用の売りポジションを確保しておく
制度信用でカラ売りできない銘柄でも、一般信用ならカラ売りできることがあります。
カラ売りで利益を得られるチャンスを逃さないためにも、一般信用を利用しましょう。
ただ、一般信用で取り扱われている銘柄なら希望するときに必ず取引ができるというわけではありません。取引ができないこともあります。
なぜなら、株数にかぎりがあるからです。
「この銘柄をカラ売りしたいな。一般信用で取り扱われている銘柄だ。仕掛けよう」
と思って注文を出そうとしたら、「品切れ」になっていることがよくあります。
下がる株価をただ見ているだけになってしまいます。
そうならないためにも、カラ売りを仕掛けるタイミングがありそうな銘柄は、なくならないうちに確保しておきましょう。
買いと売りの両建てにしておきます。
一般信用でカラ売りの注文を出して、約定したら現物の買い注文を出します。同時に出すことはできません。
そのため、急騰しているときにカラ売りを注文を出すと、買い注文が約定するまでに株価が上がってしまい、含み損が出てしまいます。なるべく、株価の動きが小さいときに出しましょう。
両建てにしたら、カラ売りを仕掛けるタイミングで現物を売ります。そうすれば、カラ売りのポジションだけになるわけです。
利食いやロスカットの場合は、カラ売りのポジションを決済してもいいですし、その後も仕掛けるようであれば、また現物を買って両建てにします。
二階堂重人のカラ売り本
株トレード カラ売りのすごコツ80
株トレード カラ売りのルール